箱庭を作る会に参加して

8月28日に名古屋の檀渓心理相談室で開催された箱庭を作る会に参加してきた。20名ほどの参加者の方たちが箱庭を作成し、それぞれ印象などを伝えあった。私も作成し、いろんなコメントをいただいた。今回は普段仕事で向き合っているのとは異なり、自分が楽しく遊ぶつもりで参加したので、自分が作るときも他の方の作品をみせていただくときも楽しむことができた。箱庭にはその人の内面がある程度表現される。作成された箱庭にはその人のこころの叫びのようなものが伝わって来るものもあった。ぱっとみて「あっ」と訴えかけてくるものもあれば、細部を見て行くとストーリーができあがるものもあった。

研修に参加して感じたのが、普段の臨床でいかに自分が箱庭を楽しんでいないかということだった。箱庭を見るときにはいつも、その中に何か課題を探してしまっていた。しかし、会に参加して他の方といろんな話をしたあとで、もっと自由に楽しんで、見て思い浮かんだストーリーをこころにとどめておくほうが、クライエントの方のためにもなると思った。クライエントにとっては、自分の課題が何か知ることより、その後自由にいろんな可能性に基づいて箱庭を作れるほうが、重要だと思うからだ。話はしっかりと面接でする。箱庭は自由に遊んでいただいたほうがいいのだと思った。

そのためには、私がクライエントの作った箱庭にあれこれストーリーを感じて楽しんで見ることだと思った。箱庭のストーリーの読み方は皆自由。なので人によって見方は違う。だからそこからストーリーを作る場合も人によって違う。その自由さ、楽しさをまずこちらが感じることが重要だと思った。

それでもクライエントの作る箱庭にできるだけ本質を見る必要はあると思う。そのためにセラピストはできるだけいろんな物語に触れておく必要はあると思う。そして自分に限界があることも意識しておく必要があると思う。わからないことはそのままにしてこころにとどめておくことも重要だと思う。

研修に参加して結局、クライエントに精一杯関わるというのはそういうことかと思った。箱庭療法はまだまだ私には研鑽が必要だし先の道のりは長そうだ。しかし同時に、面白いし楽しいものだと思った。今回感じたことを今後の臨床に生かしたい。

会風景

当日使用したミニチュアの一部。棚にも動物などがたくさん並んでいた

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。