白黒つけたい人

ある人が、『誰かにしつこくいじめられて、逃げ場のない無力感を感じている』という夢を見た。

 (記載について本人了承済)

この夢を見た女性は、恋人と何かで言い合いになったとき等、相手に逃げ場を与えず、追い詰めるタイプの女性だった。それで過去に付き合った男性は彼女のもとを離れて行く。逃げ場を与えない。これはどういうことなのだろうか。

自分の正しいと思ったとおりにしか、他人と関われない人がいる。他人が自分の思惑と少しでも違った動きをしようものなら我慢できない。そのように扱われた人は自分が機械になったように感じる。それに逆らうと、ますます縛りが強くなり、ますます身動きが取れなくなるので、従うしかない。本人は正しいことを言っているつもりだが、傍から見ていると矛盾も多く、動かされているほうはその矛盾も含めて引き受けることになるから、たまったものではない。

はるか昔の職場で、この手のタイプの人がいた。その人は感情のコントロールが悪かった。自分が不安だとか、心細い、つらい、ということが口にできない。他人に助けを求めることができない。そのような感情を自分の中に認めたくないから、自分の感情をコントロールする代わりに、他人を自分の思い通り動かし、コントロールすることで心の平静を得ているように思えた。しかし、当の本人は、そうしていることに気づかないからやっかいだ。

他人をコントロールしたくなったら、自分の中にコントロールできない感情がないか、まずは反省したほうがよさそうだ。自分の中の不安や、つらさ、そういうものにまず目を向けて、自覚したほうが、今後につながるし人間関係もいいほうへ広がりそうに思える。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。