ユングのタイプ論

表題のような本がある。ユングが40歳過ぎに発表した本で、それまでの研究の成果が詰まっているといわれている。15年ほど前に読んだが、内容はほぼ忘れた。それを先月から久しぶりに読んでみることにした。

ユングは人間の性格を、その構えから内向外向、機能として思考、感情、感覚、直観・・という風にわけられると考えた。外向的な人には、さらに思考優位の人、感情優位の人・・とわかれる。人間の性格を8つのタイプにわけた。

読み始めたはいいですが、文章のわかりにくさと内容の難解さで、丁寧に読んでいると1日3ページくらいしか進まない。今のところは歴史的人物のタイプわけや、先人が人間の性格をタイプにわけて論じたのを、ユングが批評している。歴史的人物のタイプわけのところが読みにくい。

ユングは人に読んでもらうためというより、おそらく自分の考えをまとめるために、やむにやまれずこの本を書いたのだと感じる、なので読みにくいのだろう。魅力的・情熱的とも言える文章が続いたと思ったら、「これ以降はわれわれの研究の興味をそそるものではない」と文章が急に終わったりする。まさに対象(読者)に対するこの感情面での関わりの現れようが、内向型の特徴であろう。

15年前に私はこの本を読んで結論を知っている。ユングは他の心理学研究者が考えをまとめる上で、参考となるような考え方の軸を残したかったと言っている。ユングは死んでしまったが、私はタイプ論を批判的に読んで自分の考えにまとめることにしよう。ユング自伝(晩年に出た)に書いてあった、自分の中で一番強い性質は、理解したいという欲求だと。そして自分は、死者たちが常に自分の真後ろに立って、彼らが知りえなかった新たな知見について教えてくれと待ち構えている、それを感じると。ユングが亡くなった今となってはもしかしたら私の後ろに立ってユングがそう待ち構えているかもしれない(と想像してみる)。

さて、今のところ(150ページくらい)の定義によると、私は内向思考型かなと思う。内向外向について論じたところを読んでも、内向の人の説明のほうに「うんうん、そうそう」と感じることが多い。しかし私の師(内向直観タイプ)には、外向的だと言われた。残りあと400ページくらいある。読み終えたときに何かをユングに答えられたらいい

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。