人を癒すのは何だ

先日、ある精神科の病院にカウンセリングルーム開業の挨拶にうかがうと「君は精神科の経験はなかったの。しておけばよかったね」と言われました。そうかもしれない、精神科の経験は貴重だと思います。それが世の中一般的な考え方だと思います。私は約3年間精神科のない総合病院で入院患者様のメンタルケアを行ってきて、精神科臨床の経験はありません。そこで、自分に問うてみました。はたして、人を癒すのは、人を治すのは精神科臨床の経験を積めばそれでよいのだろうか。

考えた末、やはり私はそうは思わないという結論になりました。人を癒し、治すのは、カウンセラーの生きる態度だと思います。私は自分自身がカウンセリングを受けて(カウンセラーを目指す人が体験する意味でカウンセリングを受けるもの。教育分析といいます)自分に向き合い、自分がどう世の中と関わっていきたいか、ということをつかんでいると思います。これは今後変化するかもしれませんが、常に自分がどう世の中と関わっていくか、ということを慎重に見極めようとする、その姿勢は身につけていると思います。それは教えられて一朝一夕で身に付くものではありません。長い時間かけて自分に向き合ってこそ身についたものです。そして今があります。これからもあります。

私はこれで勝負していきたい。やはりクライエントを癒すのは、カウンセラーの生きる姿勢だと思います。カウンセラーが自分の生き方をつかんでいなかったら、クライエントはどうやって自分の生き方をつかめるのか。私は私が身につけてきたもので、なんとか世の中の関わって役に立っていきたいと思っています。

この記事を書いた人

アバター

加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。