それは間違っている

カウンセラーをしていると、日々人間関係の変化や分離、別れがテーマとなっているお話をお聴きする機会は、少なくない。しかるべき時期にあいまいにされた、その時に感じられるべきだった感情は、ときに遠いところまで流れ出て、関係のない人が涙を流すことにもなりえる。

このようなことについて書こうと思ったきっかけは、先日水漏れを起こしてしまい、階下の方にご迷惑をおかけしてしまった。それは洗濯機の水栓のあたりからの水漏れで、2週間ほど前に一度、不動産会社の方に相談して、その際に対処したつもりが、対処しきれていなかったのが原因だった。問題の対処について、治っているのか最後まで自分で確認しなかった、それが原因だったと思われる。それ以前に、洗濯機を使用していない時には、水栓をちゃんと閉めるべきであった。原因と今後の対策について説明もかねて、階下の方にはお詫びをさせていただいた。本当に申し訳なかった。

洗濯機の水漏れと時を同じくして、冷蔵庫の一番下の段が、少しだけ開きっぱなしになっていたこともあった。その日はどうも、床が妙に冷たいな・・と思いながら、台所を行き来していたら、そういうことであった。最近の私は何かをしっかり閉めない。今回はそれで、関係のない方に負担をかけることにまでなってしまった。

冷蔵庫の閉め忘れ、洗濯機の水漏れ、そして、人間関係において適切な時期に達成されるべきだった、分離の課題・・そこで対処をあいまいにされ、漏れ出たものは、感情は、時を超え、場所も超えて、流れ流れ、果ては関係のない人に負担をかける。

こんなことは間違っている

このようなことを書くにつれ、例えば遠い過去、そこで贖われることがなかった誰かの血や涙が思い起こされる。その中に自分が立っているところを想像してみるにつけ、ただ哀しみだけが胸に広がる。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。