泉を生かすには

連休中ある温泉地に旅行してきた。昔からある温泉地で泉質は悪くない。ただ、その街の方がいうには年々そこを訪れるお客の数が減ってきているという。その温泉地に滞在したのはこれで2度目なのだが、せっかくこんなに質の良い温泉が出るのになぜお客の数が伸びないのだろうともったいないと思う。

そこは山奥のどんつきにある歴史ある温泉地で、どこの旅館も古く、建て替えられたりもしているが営むのはこれで何代目・・という感じ。環境はすばらしく、ここには必要なものが全て揃っていると思った。緑の木々、川のせせらぎ、風のそよぎ、鳥のさえずり、そして良質な温泉。

温泉は自然から与えられたものだ。その地の人々は昔から代々温泉を大切にして生業にしてきた人たちだ。温泉を誇りにしている。そして泉質をキープしてお客様に届けよう・・・そういう思いがすごく伝わってくる。しかし、それなのにお客様が減り続けているという。自然から与えられた良質の温泉を活かすには、私たちはどういう姿勢をとったらいいのか。余計なお世話ながら街中をぐるぐる歩きながら考えた。

この温泉は人々を癒しその地の人々は何百年もそこで温泉を生かして生業にしてきた。しかし世の中の変化はめまぐるしい。どこに重心を置いたらいいのかわからんくなるようなこともたびたびだろう。この温泉を街の人だけでなく世の中の人々の生活に活かすのだ。そんな気合いだけではどうしようもないんだろうな。謙虚さと他から学ぶ姿勢を持ち続けよう。どんな人からも学ぼうとする姿勢、どんなことでもいいから取り入れようと言う貪欲さ、小さなことでもいいからやってみようというチャレンジ精神。そういう努力と気合を持ってやってこられたんだろうけど、なかなかお客は増えないんだろうな・・。。

途中でこれは、その温泉地の真実とは異なり、自分のことを言っているのにすぎないと気づいた。開業という形をとっている自分の仕事のやりかたについて。あとは、無意識を扱う心理療法について。

無意識の世界は可能性にあふれていて夢や箱庭でその断片が体験でき、使いようによっては私たちの生活に活かすことができる。しかし、それが活かされるかどうかは結局、いくら私ががむしゃらになってもそれで決まるわけではない。人々の生活に活かすこころの源泉としての無意識、その断片が体験できる夢と箱庭。それを大切に扱う姿勢、努力することはもちろん必要なのだけど、時が来てなにかめぐり合わせが合えばこれだったのかという答えがみつかる、その程度だと考えておいたほうがいいように思える。

(以下は温泉地で撮影したもの。刈谷から特急を乗り継ぎ5時間)

川
温泉地にて猫会う
街

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。