鳥は姿を変えなかった

小学校低学年の頃に家の近所を1人で歩いていて、葦の生えた沼地のような場所の近くを通りかかった際に、見知らぬ鳥の声が聴こえてきました。それはスズメの「チュンチュン」というような単純な鳴き声でなく、複数のバリエーションがつながった鳴き声で、それまでに聞いたことがありませんでした。しばらく聞き耳を立てていましたが、ついに姿を見せませんでした。少し怖い感じがしたことを覚えています。不思議な鳴き声の鳥もいるものだと思いながら、その日家に帰って寝たら、その鳥が夢に出てきました。夢の中でそれは不思議な形をしていました。鳴き声から私がイメージした形が夢に出てきたようです。

それから40年あまりが経ち、その間にその鳥の声は何度も耳にしましたが、姿を見たことはありませんでした。しかし先日、ある場所で同じ鳥の鳴き声をきいたのをきかけに調べてみると、その鳥の名前は「オオヨシキリ」というスズメに似た鳥であることがわかりました。

夢で見たその鳥の姿は、私の人生の課題を示しており、小学校低学年ですでに私は自分の課題について夢に見ていました。その30年後に教育分析を受けることになったのですが、その初回で同じテーマの夢が出てきて、師匠はすぐにそのことについて指摘しました。私もカウンセリングで夢分析を取り入れていますがとても真似できません。

教育分析を12年受けましたが、結局その鳥は姿を変えませんでした。しかしその鳥の姿が語る意味についてはいろいろ考えてほんの少し知ることができました。それが私にとっての教育分析だったと思います。

これからの人生は引き続きその鳥の姿の語る意味をつかんでいくのと同時に、現実との落差をいかに埋めるかということも考えて行くことになりそうです。そこに向かうエネルギーは多少なりとも教育分析で得ることができました。これは師匠の力、そしてなにより強い意志に支えられてのものだったと思います。

・・・それにしてもこの鳥はこの先も姿を変えることはないのでしょうか・・・

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。