一球入魂

プロ野球ペナントレースが終了間際となっている。今年はセリーグにはクライマックスシリーズがない。選手の皆さんは過密スケジュールの中頑張ったと思うので、お疲れさまといいたい。あと3試合なので悔いのない試合をしてほしい。

ところで最近、元プロ野球選手がyoutubeチャンネルを開設したり、過去のサンデードラゴンズの放送内容等がyoutubeで見れたりするので、野球中継と合わせて興味深い。最近印象に残ったのは、元ドラゴンズピッチャーの落合英二さんが(過去のテレビかラジオの番組で)話していた内容です。CBCアナウンサーの若狭さんに「中継ぎピッチャーに向いているのはどういう人ですか」ときかれて、「ずっとボールに触ってたい人」と言っていた。

対して川上憲伸さんは少し前のサンデードラゴンズで先発ピッチャーについて語っていた。先発ピッチャーは高速道路を運転しているような感じで、アクセルをうーんと踏まなくてもすーっといけるというピッチャーが有利だと。あまりアクセル・ブレーキ・・とやっていると疲れるからと。

今年活躍した大野雄大投手はストレートを投げ込むピッチャーですが、9月に大野が完投したある試合のテレビ中継を見ていたら、解説をしていた今中さんが言っていた。今中さんは大野投手が2軍時代にピッチングコーチをしていたらしいが、2軍で成績が良いのにどうして1軍に上げてくれないのかときいてきた大野投手に対して「いくら結果がよくても自分の持ち味理解して内容上げないと1軍には上げないよ」と言ったそうな。大野はまっすぐが得意、それでストライク取れなければと。何がよくてプロの世界に入ったのか考えないと、皆プロに入って持ち味出てきて、これ頑張ろうというのがでてくるからと。・・・解説でこう言いながら、ゲームのほうでは大野投手は9回2アウトあと一球のところでワイルドピッチ、その時今中がこういいました。「この場面(完投直前)で力が入るのはしょうがない。大野はパワーピッチャー、最後は力いっぱい投げますよ」と。その直後大野投手がまっすぐでストライクを取り、ゲームセットになったのはいろんな意味で圧巻でした。

思わず先発の大野投手の話になりましたが、自分としては少し前から中継ぎピッチャーのほうに興味が向いている。それは中継ぎピッチャーの中に職人と呼べるような人がいるように思えるからです。大野投手や川上憲伸さん、山本昌さん・・すごい先発ピッチャーや岩瀬さんのようなレジェンドを呼ばれるクローザーは偉大ではあるけれど、職人とは違う気がする。しかし一昔前にドラゴンズにいた高橋聡文投手や、今年活躍している祖父江投手などは職人と呼んでよいような気がする。なぜだろうか。

先発にせよ中継ぎにせよ、自分なりの技術を磨いて実践につなげられるようにするのに血のにじむような努力がされているのは同じだろうと思うが、中継ぎの中にも職人を感じさせる人とそうでない人がいる。何が違うのだろう。違いのひとつが、落合英二さんの言っていた「中継ぎに向いているのはボールにずっと触っていたい人」なのかもしれないが、それ以外にも何かありそうです。

ピッチャーはマウンドに立ったらただひとり。球に何を込めて投げるのか、どこに向かって投げているのか。そして、彼らが拾うべくグランドに落ちているものは一体何なのか。それを仮に魂と呼んでみる。私の場合にはレジェンドと呼ばれる人たちより、職人タイプのピッチャーの方にその魂を感じるようです。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。