怒りの解決

誰しも抑えられない怒りを感じることはあると思う。何故自分があんな目に合わないといけなかったのか。あんなことさえなければ、今違う人生を歩んでいたのではないか。怒りを相手にぶつけてみたり、話し合いを重ねたり・・いろいろな解決方法はあると思うが、何をしても消えずに長くひきずる怒りも存在する。ただ、他の面から見てみると、これは物事を人のせいにして、今を生きていない、そういう見方もできる。

人にとって一番大切なのは今現在を精一杯生きることだと思う。その方法を模索し追求することが大事と思う。大切なのは自分がどういう人間なのか、この現在において、確かめることだと思う。過去に捉われて、不平不満を言い続けるのは、それに添わない。

だから、その不平不満、怒りがどのような成り立ちで沸き起こってるのか過去を調べた方がいいと思う。あまりにも長く続く怒りや、不平不満、その中には本来そのできごとに対して感じるべき感情以外も交じっていることが多い。フロイトは過去の重要な人間関係で感じた感情が、現在の人間関係に移し替えられて沸き起こる、それを転移感情と呼んだ。(ユングは転移についてフロイトに問われたときに「(サイコセラピーの)分析的方法の最初(アルファ)にして最後(オメガ)です」と言った)。だから、何かトラブルがあって、ぬぐえない感情を引きずっている人は、そのときにあったできごとだけでなく、それ以外のことも調べた方がいいと思う。自分をとりまく大切な人たちとの関係は実際はどうだったのか、それが今に、過去の一点のできごとに、どう影響しているのか調べる。人間はしかるべき感情を味わうべきです。人間は何かを産出すべきものだという私の人間観がある。間違った怒りからは何も生まれない。

怒りを解決できない人は、過去の人間関係を調べることだと思う。視野を広げることだと思う。何故あんなことが起こったのか、それには私のこういう背景があったのだ。私の大切な人たちとのこういうできごとがあったのだ、私の大切な人たちにはこういう背景があったのだ。それらが自分の今の生に何らかの意味を与えたときに、私はこうして生きていたのだと腑に落ちる日が来るかもしれない。そのときが来るかどうか私にはわからない。しかし私は希望を持っていますし、それに賭けたい。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。