ハズレのない人生

9月に入り、最高気温が35度・・という日々にも、一旦区切りがついたようです。ヨガの先生によると、この時期胃腸が疲れており、冷たいものがまだまだ飲みたくなるものの、できれば温かいものを摂取したほうが、身体には優しいそうです。夏の疲れが出やすい時なので、いつもより休息を大目に取る等、身体を労りたいものです。

さて、夏の終わりと言えば、私の好きな木皿泉さんの脚本のドラマで、「すいか」というのがある。これは2003年に放映されたものなので、かれこれ20年前のドラマです。もうかなり昔・・ということになるのでしょうが、2003年というと、私にはつい最近のことのように思える。

印象深かったので、DVDボックスを手に入れて、お盆の時期になると視聴している。秋には、1Q84を読みますが、夏にはこのドラマを見る、みたいな。

この夏に見て、印象に残ったシーンは、登場人物の中の女の子(すいかは、あるアパートに暮らす人々の日常を描いたもので、アパートの大家をしている学生の女の子)が、アイス(ミルクバー)を買って、それにあたりが出るのですが、それを交換しても交換しても、ずっと当たりが出る・・・というシーンです。初めは喜々として、当たり棒を交換しに行っていたのですが、その女の子は、当たりが出続けることが、徐々に恐ろしくなってきて、神社に行ってハズレを願ったりもする。

この話の結末はさておき、勝負の世界で言ったら、人はどこかで負けることになる。将棋でもプロ野球でも。勝ち続けることなど、できない。タイトルを失う時や引退の時が必ず来る。何かをあきらめること、望んでも手に入らないものがあること。自分には決して、できないことがあること。それを知ったときに、人は一旦、精神的な意味での死を経験し、新しい価値観を身に着けて生まれ変わるのかもしれない。もちろんこの死は、象徴的なものだけれど、このような経験は苦しいことではあるだろうけれど、乗り越えることができれば、素晴らしい経験にもなりえるのだと思う。

私自身まだ、当たりを引く気まんまんなところが随所にみられる。しかし、当たりをひくことでない何かにコミットするための、死。この場合の死は、実際に死ぬことではなく、例えばその後に、新たな価値観の元に生まれ変わる体験が待っているような、日々生活する中での、象徴的な死のことを言っているのですが、もし自分が、そのような死(生)も悪くないなと思えるようになったら、自分にとってそれはよいことなのだろうと今は思っている。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。