尾道の風景

正月に広島に旅行に行った。12月の半ばに突如宮島に行きたいという思いに襲われ、遠いし・・とぐずぐずしながら年が明け、尾道のホテルを予約したのは旅行にでかける前日だった。尾道に宿泊しようと思ったのは、10年くらい前に友人の結婚式のついでに短時間立ち寄ったことはあったが、街並みが面白く、泊まってみたいとかねがね考えていたからです。尾道は海沿いにある街ですが、海沿いにJRの線路が走っており、線路を挟んですぐに、急な勾配のある宅地が続く。独特の雰囲気がある街です。勾配のある街並みの高いところに展望台があるのですが、その近くにあるホテルに宿泊することにした。夕食付で、割とお手頃に泊まれた。

宮島詣でを済ませて尾道に到着したのは夕方の4時くらいでしたが、ホテルの方から事前に「上に上がったら周囲に何もないですから駅の近くで何か買ってきてください」と連絡をいただいていたので、駅の近くのミスドで朝食用にドーナツを購入した。「階段をかなり登らないといけないので心配だったらロープウェイかタクシーを使ってください」とも。ただ、案内を見ると、徒歩10分タクシー15分という不思議な記載があった。ホテルの立地が、駅からの直線距離は近く見えるが、それは住宅の間の狭い階段を徒歩で登って行く場合で、タクシーでは回り道をせねばならないのだろう。迷った上に、荷物も少なかったし、階段を登って行くことにした。

上の方にあるお城の右側に見える白い建物が目的地のホテル

10年ほど前に訪れたときには、秋の好天で、道を歩いていると家の中からテレビの音がきこえ、昭和の雰囲気が漂い、異世界に来たような気持になった。立ち並んだ家々の外側に洗濯機が置かれていた。今回訪れてみると、外置き洗濯機はあまり見かけなかったが、それでも趣はあまり変わっておらず、細い階段を上る途中で、旅行者に何組か合った。階段を上りながら後ろを振り返るときれいな海が見えたので、後ろを振り返りながら歩いた。

10分ほど階段を上ってホテルにたどり着いた。そこでチェックインを済ませて夕食まで時間があったので、近くの展望台に行くことにした。ちょうど日暮れの時間帯で、展望台には人が20人くらいいた。そこから見た日暮れの風景がとてもきれいだった。

展望台付近より、瀬戸内海に沈む夕日

宿に帰ってからホテル内のタイレストランで夕食を食べた。トムヤムクン、タイ風さつま揚げ、グリーンカレー等が出て来て、どれも美味しかった。タイ風さつま揚げはコーンがたっぷり入っていて、あつあつでおいしかった。が、そこに添えてあったレモンのクオリティの高さに驚いた。これは次の日に生口島に渡ってカフェでホットレモンを頼んだ時にも感じたが、さすがレモンの栽培がさかんな瀬戸内だけあると思った。

ホテルレストランにて、グリーンカレーとチャンビール

部屋に戻ると、窓から夜景を眺めて過ごした。そこからはいろいろな光が見えた。手前に尾道の街の光、JR山陽本線を走る電車の光、道を走る車、その向こうの海には連絡船がいくつか行き来していた。向かいの島には島の人たちが発する光が見えた。海を正面に見て左の方には尾道大橋がかかっているのが見えた。右方には造船会社の発する光も見えた。向かいの島の暗い山の中にも、ぽつんぽつんと光がともっていた。空には星がいくつか光っていた・・・。

ホテルの窓から夜景を望む。明るいのは尾道駅周辺でその向こうが海と向島

珍しい風景だなあと思った。そして心が温かくなった。この光はいろんな人が発している。人間がいる場所から光が出ているのだなと思った。そして、向こうから見たら私のいるこの部屋からも光が発せられているのが見えるのだろうなと思ったら、すごくほっとした。何も怖がることはない、そういう気持になった。

次の日は早目に宿を出て日の出を見てから、朝一番の船で生口島に渡った。こうして振り返ると、短い滞在だったが尾道のいろいろな風景を眺めることができてよかった。

志賀直哉旧居より朝日を望む

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。