鎌倉の風景

先日学会があり、会場が横浜だった。参加したかった発表やシンポジウムは学会2日目の午前と、4日目の午後にひとつずつあって、間が1.5日くらい空いたので、観光することにして、まずは2日目の午後に鎌倉に行くことにした。その日は朝からけっこう雨が降っており、中国地方で朝に新幹線が止まるほどであった。その雨が夕方には関東に移動するということで、旅だというのに持ち運びしにくい大きな傘を持って移動する必要があった。北鎌倉、鎌倉と行くことにしたが、初めて訪れた北鎌倉の駅は思ったより素朴で、荷物を預ける場所等はなさそうだった。私はその日が旅の初日だったので、まだ荷物をホテルに預けることができず、大きな荷物を持ちながらの観光となった。

駅から歩いて明月院というお寺に向かった。ここはあじさいで有名なお寺だそうで、道すがらもお寺や古い家が並んだ、とても風情のある場所だった。お寺に着く途中にも、お寺に着いてからも人はたくさんいましたが、中にはすぐに入ることができた。事前情報によると、この時期はあじさい目当てに観光客が集中するので、入場に2時間待ち・・ということもあるそうな。雨が多めに降っていたことが幸いしたのかもしれません。寺の中にあるあじさいはほぼ1種類のみで、青く小ぶりな花だったが、とてもきれいだった。来ていた人が皆写真を撮って楽しんでいた。雨が降って皆傘をさしていたが、それがあじさいの風景とよくマッチしていた。

明月院のあじさい

しばらく進むと、このお寺の有名な丸窓があるお堂があり、写真を撮ろうと人が並んでいたので私も並んだ。私はひとりだったから、撮りあう連れもいなくて自分は写真には入らなかったけど、周囲の人は皆、連れの方と何枚も撮りあっていた。私の番になって3枚だけ写真を撮った。慌てて撮ったものが2枚。少し眺めて感じ入って撮ったものが1枚。やはり感じ入って撮ったもののほうが、今見ても感じるものがある(気がする)。何事をするにしても自分の内面とつながりをもたせないと、後に何も残らない。

明月院内お堂にある丸窓。奥に人が見えて向こう側にさらに世界があったのに驚く

明月院を後にして、北鎌倉駅から鎌倉駅に行き、鶴岡八幡宮を詣でた。途中立ち寄ったお店でしらすのお寿司を食べていると、店主の方が「これは大雨になって電車が停まるぞ」と言ったので、慌てて店を出て歩いた。鶴岡八幡宮はその通り大雨の中で詣でることになったが、人は少なくなく、修学旅行の学生もいた。作業服を着て会社の方々で集団で来ている人たちもみかけた。階段を上り、本殿で参拝しその後本殿脇のお社で大雨の中おみくじを引くと、まよいがちに出てきたのは凶だった。

鎌倉駅に帰る道すがら、店に立ち寄って置物を手に入れた。猫が6匹で楽器を吹いたりしている猫の音楽隊の置物です。今の自分がやかましいのでこういうのが欲しくなったのかもしれない。その後静かなカフェでコーヒーを飲んでから鎌倉の駅に向かい横浜に戻った。本当は江ノ電にも乗って見たかったが、夕方になっていたのと大雨で電車が止まるかもしれないと思ったのでやめた。

鎌倉のカフェの窓より

カフェの内側

鎌倉の風景は雨で静かな、おそらく美しいものだったけれど、自分の内面が騒がしく薄っぺらかったので十分に味わうことができなかった。鎌倉では窓ばかり写真に撮っていたが、自分の方に奥行きがないと、相手の奥行きも見えない。この状態の自分ではいくら窓の外を眺めても、何も見えはしない、そろそろそれに気づくときだった。そういうことだったのかもしれないと今は思う。

北鎌倉を流れる水道、せりなども生えていた

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。