存在をその生に結びつけるものは

1月末のことだったか、退院間際の先生のところにお見舞いに行ってきた。先生は昨年の9月から闘病生活を送られていた。手術後の体力回復のために、病棟内の歩行に付き添うといいうのがその名目ですが、先生と顔を合わせるのは嬉しかった。

しかしその頃から、巷ではインフルエンザの流行がきかれたり、国内でもコロナウィルスが発生はじめたりして、油断ならなかった。私はといえば昨年12月頃から1月にかけて、謎の口内炎が持続していた・・。おそらくこれは栄養失調による免疫低下と思われた。そこでひとりで大きなハンバーグを食べに行くことにした。

いつものとおり、大きなハンバーグを注文し待ちながらふと、人のためにこうして体調を整えようとするというのはいいものだなということに思い当たった。今までは何をするのにも自分のため、自分しかいなかった気がする。しかし、今こうしてハンバーグを食べているのは、来週先生の見舞いに病院を訪れるのに風邪などひいていられない、その気持ちからなわけで・・。

そうすると心が温かくなり、ハッピーな気持ちになった。同時に家族や友人たちの顔も浮かんできた。この人たちのためにご飯を食べよう。ひとりで食べていても幸せな食事であった。

・・・さて、以上は1月末に書いた文章だったのですが3月に入った現在、コロナウィルスの流行で、不穏な日々が続いている。新聞で読む記事も、国会で討論されている内容も、どれも一面的で矛盾をはらんでおり、その役職の立場・欲求でものを言っているのに過ぎないように思える。やはり世の中は恣意に満ちており、一見そこに法など存在しないと感じる。

ではこの不確実な世の中で、自分の存在をその生に結び付けるのは一体何なのか。自分の法とは何なのか。それについて考えようと思ったら、1月末に書いた上記の文章が思い浮かんだ。

愛とか哲学とか頭で考え出した言葉はその答えにはならないと思う。あなたの課題は何なのかと問われても、ひとことでは答えられない。ただこうして日々浮かんでくる物語の中にそれは存在しているようにも思える。だからこれからもこうして文章を書いて行こうと思う。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。