モス

先日、家の入口の扉を開いたすぐの通路の隅のところに、日中枯れ葉がずっと落ちていて、それが実は蛾だった。名前はアケビコノハという蛾で、落ち葉に擬態している。はじめは落ち葉だと思っていたが、右から見ても左から見ても、立体的だったので気が付いた。それでよく見たら、足みたいのもあった。

インターネットで調べた時に印象に残ったのは、画像のいくつかに、「閲覧注意」という言葉が付されていたのだった。まあ蛾が苦手な人もおられるだろうから、しょうがないのだろうが、別に好き好んでこの姿に生まれてきたのではないだろうに。

・・・入口前の通路は、コンクリートが打たれており、落ち葉の一枚も落ちていないので、そこに居るアケビコノハは、擬態どころか逆に目立っていた。完全に居場所を間違えている。しかし、このあたりに風や天敵をよける場所もないから、ここにいるのだろう。風や鳥を避けるには、割といい場所と思われる。

気のすむまで、夜になるまでここにいよう。そして夜明け前に、飛んでいこう

なにも、好き好んで、こんな姿になったわけではない。自分は自分。堂々とそこにいていい。ネットによると、羽を広げた姿はまた、すごいらしい。それで人をぎょっとさせても、羽を広げるがいい。それが自分なんだから・・。

・・・そして飛びながらやっとモスは悟った。もう私にはこれ以上の変態はないのだと・・・

(※変態・・さなぎがチョウになる、おたまじゃくしがカエルになるなど、動物が成育過程で姿を変えること)

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。