どこから来てどこへ行く

疑いもなく今、この世に生きていてもいいと思えている方も、この世には大勢いると思いますが(←当たり前の安心感を持てているという意味において)、それでも今自分が何をしたらいいのだろうと迷う方はいるのではないでしょうか。この世に生を受けて、個性を与えられ、一代生き抜く。その中でどんな人生を生きるのかは人それぞれ。自分はどこから来て、どこへ行くのか。そのことについて考えてみるのはいいことかもしれないと思う。そしてこの世に生れ出たその人にとっての課題は、人それぞれなのでしょう。

エリクソンは発達段階を8つにわけた。ざっと乳児期、早期幼児期、幼児期、児童期、青年期、成人期、中年期、老年期とわけられる。例えば乳児期ならば、養育者との間で信頼感を得ることが課題であり、それに失敗すると人間に対する不信感が残る・・・等、各発達段階で取り組むべき心理社会的タスクと、成功した場合に獲得できる能力、失敗した場合にどのような課題が残るか・・についてエリクソンはまとめた。

ざっと書いてみると以下の通りになる。

ライフサイクル (前田重治,1985のまとめを参考)

発達段階心理社会的様式(課題)心理社会的危機
乳児期希望・依存(安心、確信をもちたい)信頼⇔不信
早期幼児期意志・独立(うまくやりたい)自律性⇔恥
幼児期目的・役割(どんな役割を持てばいいのか) まねる積極性⇔罪悪感
児童期知識・技術(作りたい、学びたい)生産性⇔劣等感
青年期自分の自覚 (主体性の確立) 自分になりきる自我同一性⇔同一性拡散
成人期愛する、自己を見失い発見する親密さ⇔孤立
中年期いつくしむ、世話する生殖性⇔沈滞
老年期あるがままに存在する、英知統合性⇔絶望

こうして眺めてみると、私はどの段階のタスクも背負っているように思えますが、エリクソンも言うように、発達は必ずしも直線的に進むわけではなく、ある時期どれかひとつのタスクが特に優位になる。一方、心理社会的な発達を遂げるための外的要因も、それに伴って周囲にコンステレートされる。

この世に生れ出たのだから、何かしら人の役に立ちたいとは思う。人はひとりでは生きてはいけない。さまざまな人に囲まれて生きていくことになる。

さて、遅ればせながら、やっとこれから社会に出るという気がしています。そのときに、何ができて何ができないのか。私は何を選ぶのか。

・・・これは青年期、そして幼児期にまでさかのぼる悩みな気がしている。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。