愛は技術であるという

私がよく読む本を挙げるとするなら、河合先生の「影の現象学」、ユングの「転移の心理学」、笠原先生の「青年期」で、これらは繰り返し読んで頭に入れたいなと思っている本です。河合先生の「コンプレックス」も何度も読みたい本です。「影の現象学」の中の、エーコーとナルキッソスの物語について書かれた部分は、何度も読み返している箇所です。エーコーの愛に応えなかったナルキッソスのようになってはいけないと思うのと同時に、自分がエーコーに似ているなと感じることもあります。

この一か月に読んだ本として印象に残っているのは「愛するということ」というエリッヒ・フロムという人が書いた本です。200ページくらいで字も行間幅も大きいので、すぐに読めます。

今回読んで印象に残ったのは、愛は技術であるということばで、自分が今まで愛は感情のことだと思っていた、そのことに気づいた。そうではなくて、愛は行動のことだという。その中には努力や能動性が含まれるということです。人を愛するには意志や主体性が必要ということです。

人を愛するためには、自分を知り自分にできないことを知り、相手のことを知り、相手のできないことも知ることが必要だと思う。その上で共にいたいと願うこと。そのための行動が愛ということなのか、と今は思う。

・・しかし、感情は?今回フロムの本を読んで思った。フロムのいうように愛が技術であり、意志が大切と言うのならば、一番の愛は一般的に言う構造の中にあるということになるのではないか?と。そうすると構造や形式が保たれればそこに感情がなくても、ともにいればそれは愛だということになる。好意、ぬくもり、そういうもの抜きでも愛なのかという問題。あとは、人によって愛の示し方が違うように思えるが、これはどうしたらいいのかという疑問もでてくる。

この差を超える方法がフロムの本に書かれているのだと思う。すなわち、配慮・責任・尊重・知のことです。そして、意志。人はわけのわからないものを受け入れるのは大変だし、とても恐ろしい。それでもやはり、私は知りたい。これからが大変そうだ。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。