トリックスター。
物語に出てくるいたずら者。例えば道化。シェイクスピアの劇や、バレエの白鳥の湖などにも出てくる。道化は既存の価値観に縛られず王様の近くにいて好きなことを言う。他の人が言いにくいようなことも、道化が言うなら許される。ときに、道化のトリッキーな働きかけで世界がひっくり返るようなことも起こり得る。
このトリックスター、人間のこころの中にもでてくる場合がある。夢や箱庭に出て来て、きづくことがある。自分の意識的な考え方があまりにも一面的になっているとき(例えば仕事一筋でプライベートをおろそかにしているとき等)に内面にトリックスターが現れ気持ちに変化が起こり、自分の世界に新たな価値観が吹き入れられるような場合もある・・が気を付けないと世界がひっくり返るようなことが起こる危険もある。
現実の世界にも、こういう役割を担っているような人をみかけることがある。
ところで最近、私の内外にトリックスターが布置されている気がする。何が起こっているのかと思う。
まず押さえておかないといけないのは、トリックスターはあくまでも私の内面にでてきたもので、トリックスター的な人が外に現れるとしたら、そして外に状況が整ってしまったりするのは、偶然の一致ということだ。
トリックスターは既存の価値観など気にしない。そしてトリックスターの特徴のひとつが二面性で、例えば善と悪、強さと弱さなど両方を併せ持つ。こういうものがこころの中に出てくると、自分の今までの考え方が正しいのか正しくないのかよくわからなくなってきて混乱する。自分が「悪」としていたようなことが「よし」となったりする。
私が「悪」と考えることはいろいろある。紙に書き出してみるとすぐに、10個以上は思いつく。そしてそれを眺めてみるとその時点で自分に一貫性がない、矛盾していることに気づく。
トリックスターが布置している今、例えば自分の中の「悪」と矛盾に目を向けるときかとも思う。しかしこういうときこそ、いつも以上に気を付けて、きちんと身だしなみを整えて生活していかないといけないとも思っている。相手はトリックスター。隙あらば何かいたずらをしかけてくる。気づいたら裸で歩いていた、などということもあり得ると思っている。