エナンティオドロミー

今週末は、大学入試の、共通テストが行われるようです。私が、その前身のセンター試験を受けたのは、もう30年以上前のことになる。

当時、私が入学した高校は、進学校で、入学前の説明会では早くも、学年主任の先生が大学受験について、話をされた。「今のうちから準備しておくとおかないのとでは、2年後に差がつきますよ」と。

真面目な?私は、大学受験を見据えて、1年生のときから、必要科目はコツコツと勉強することにした。

さて、高校3年になり、夏休み。自分を追い込んで、真面目にたくさん勉強しました。その夏休みが終わろうとしたある日、クラスの皆で集まって、思い切り遊ぼうということになった。晴れた夏の日、河川敷でのびのびと走りまわって、真っ黒に日焼けした。

ここで私の中の張りつめていた何かが、切れたのだろうか。そこから11月末まで、私は学校の授業に出る以外は、一切勉強しなくなった。

その3か月間、何をしていたのかというと、あまり覚えていませんが、どうしても受験勉強がやる気にならなかったことと、秋の日が明るく暖かかったことと、男の子の自転車の後ろに乗せてもらったりして、遊んでいたことは思い出される。

大学受験を目標に、学校や、周囲に合わせてがんばっていた。それが、ある日を境に、私の中で、抑えていた部分が今度は、外に向かい始めたとも見てとれる。ユングが言う、エナンティオドロミーだ。

結局私は、センター試験で点数がとどかず、当初第一志望にしていた大学の入学は、叶わなかった。

さて、さまざまな問題や課題をはらみながらも、50歳を目前にして、私は今もこうして生きている。あの時自分の中に沸き起こった、エナンティオドロミー。私は、いまだ方向を持たないまま、同じ場所で渦巻いているようにも、思える。

卒業した大学は、第一志望ではなかったが、そこそこ良い経験ができたと、今になっては思う。何が大切かは、振り返ってみて、その時々で変わると感じる。

今、悩んでいることがあったとしても、時が経てば、物の見方も自分の在り方も変わって、どうとでもなるのかもしれないも思う。

さて、いよいよ今週末は、共通テスト。受験生の皆さんの、持てる力が出せますように。

暖かくして、お身体大切にしながら、がんばってください。ご健闘をお祈りしています。

この記事を書いた人

アバター

加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。