アスリート魂

昨日まで世界水泳が福岡で開催されていた。一昨日は池江璃花子選手が、50メートルバタフライの決勝に出場していた。池江選手は、4年前に白血病を発症し、闘病生活を経て、競泳の日本代表選手に復活された。

レースの結果は7位だった。病を克服してここまで来たのだから素晴らしい・・と思って見ていたら、レース後のインタビューでは、池江選手が「いつまで苦しむんだろう」と、少し涙ぐみながらおっしゃった。そして、それに対して、元オリンピックアスリートであり、解説者の高橋繁浩さんが、「自分の状態がわかったと思います、これからどういう課題に取り組めばいいかも・・」というようなコメントを付された。

池江選手は、ここまでもかなり苦しんでこられたと思うのですが、まだ苦しんでおられるのか・・。そう思ったら、複雑な気持ちになりました。

・・・アスリートの方にとっては、タイムや結果が大事。池江選手のコメントも、アスリートとしては当たり前のことをおっしゃったと思いますし、高橋繁浩さんのコメントも、後輩アスリートに期待し、励ます立場からすれば、当然のことをおっしゃったのだと思われる。

それに、私の中にも、数字や順位を重要に思うようなこころもちは、あると思う。それに、何かをわけたり、順位付けするような行為は、人が日常を過ごしていく中で、どうしようもなく避けられない場合もあるように思われる・・・

ところで、解説をされていた高橋繁浩さんは、私が大学生当時(30年前)、水泳界ではレジェンド的な存在で、(今は私は競泳から離れてしまっているので、競泳に携わっている者として見た印象については、現在はわかりませんが、長きに渡り、国際大会の解説に携わられていることから、その評価は変わっていないと思われます)、水泳部だった私も、大会などで何度か、コーチとしてのお姿でしたが、お見かけしたことがあった。一度私が所属していた南山大学水泳部にも指導に来てくださって、私はその時に飛び込みを見ていただいたと記憶している。

当時は、今とは違って、水泳の選手生命は20歳くらいまで、と言われていたと記憶している。高橋繁浩さんも20代前半で一旦選手を引退されたのですが、20代後半でまたアスリートに復活し、オリンピック出場まで果たされた。これは、当時は異例のことだったし、当時19歳くらいになっても競泳を続けていて、そして自分のことを一応、アスリートのはしくれと考えていた私にも、この年齢でもまだ記録が伸ばしていけるのだ・・と励みになる、希望の星のような存在でした。

さて、池江選手のバタフライ50メートルのレースから、一夜明けた昨日も、世界水泳は熱く、福岡で開催されていました。

昨日は池江選手は、メドレーリレーに出場していました。レース前には、「ここにいる、観客の方々が、皆自分のことを応援してくれると思って、それを力にして泳ぎたい」というようなことをおっしゃっていた。レースの結果は6位で、池江選手は、「楽しんで泳げた」と。解説の高橋繁浩さんも「予選8位から、決勝6位に上げた」 「がんばりましたよ」 というようなことをおっしゃっていた。

結果はコントロールできない部分もありますが、何がしたいかと、どうやってそれをやるかは、自分でコントロールできると思われる。

昨日のメドレーリレーのレース後の、池江選手の表情は、私にはとても美しくすがすがしく映りました。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。