自分を作る

外で自信を持ってふるまうのには、ある程度自分を作ること(演技をすることと言ってもいいかもしれません)が必要のようです。そして、そのための準備にエネルギーを使うことが必要と思います。新しい環境に身を置くことの多いこの時期に特にそう感じます。

新しい環境などと構えて、準備などせずとも、なんとなしに外へ出て、人と付き合っているうちにうまく行くようになる。そういう方も多いかもしれません。

私はそういう風にはいかない。考えてみれば小学校のときには4月になると毎年憂鬱だった。環境の変化に弱くて、クラスが変わり周囲の人たちが変わってしまってその中に身を置くのが苦痛だった。これは今も同じです。

いつまでも同じような反応を繰り返しているだけでは進歩がない。この辺で一旦、自分の外でのふるまいについて考えるときかとも思う。

さて、最近読んだ本で印象に残ったものがあります。女優の吉瀬美智子さんの書いたエッセイ本です。吉瀬美智子さんはショートカットの髪形と肌の透明感が印象的な女優さんです。32歳でモデルから女優に転身したときのこと、髪形を変えたときのこと(納得するスタイルになるまで、ヘアサロンに6回通った、そのときの髪形はずっとベースになっていて、自分のこの世界での立ち位置をつくってくれたと、本の中でおっしゃっています)・・等大切な時に、どうやって自分が行動したのかが書いてある。この方は髪形にせよ、演技にせよ、納得の行くまでとことんつきつめるようだ。そして納得したところでヨシ、と外に出て行く。

これはある程度私の日常生活でも真似できると思った。外でどうふるまうか、新しい環境に身を置いたときに家で納得の行くまで自分のふるまいをシュミレーションしてみるのはいいかと思う。それで「この自分で行こう」と決めたらそれで、外に出て行く。

これまで私は、あまり考えて自分を作り上げて外に出て行く、そういうことをしてこなかった。臨床ではクライエントの方のことを考え抜いて面接に臨むと、セラピストの腰が据わってきちんと面接ができる。おなじようなことが外の職場での自分のふるまいについても言えるのだと思う。自分を作って環境の中に入って行く。その必要性をいまさらながら強く感じている。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。