ふたたび主体性について考える

相談室にはいろいろな悩みを持った方たちがみえる。中には自分よりよほど主体性があるなあと、感じる方もいる。それだからこそ、ある範囲内での社会生活がうまく行かないこともあるようだ。

そういう方の夢を拝見すると、自分の見る夢に比べて、はっきりとしてわかりやすいように感じる。

主体性とは何か。

最近、たけしの書いた「死ぬための生きかた」という本を読んだ。死ぬことは人間みんなの目的であると書かれていた。人は生まれながらの死刑囚だとも書いてあった。生きててよかったと思えるように、人間として最低限のことはきちんとやろうと書かれていた。(この本はたけしが原付事故で九死に一生を得て生還した直後に出版された)

それから、「人間として最低限なすべきこととは」について考えた。倫理とか道徳のことかなと思った。やさしさとか思いやりを持つとかそういうことかとも思った。少し考えてそのことは後回しにしようと思い、しばらく経った。はたして皆さんは、「人であること」とはどういうことだと思いますか。

今ふたたびそれについて考えるなら、その答えは個別的なものなのだと思う。人間はその個別的な答えを探して、行動するために生きているのだと思う。人間として最低限なすべきことも個別的なものだと思う。そうすると、死ぬことも個別的になるのだと思う。

人は生まれながらの死刑囚だとたけしは言った。その瞬間に向けて今、どう生きるか。私もできれば死ぬまで人でありたい。死ぬまで人であるためには、今を大切に生きることだと思う。それは、命より大切なものを見つけることかとも思う。そうすると「今を大切に生きる」、その覚悟はまだ私には足りないようだし、本当に何がしたいのかもはっきりしていない。潔さもない、責任も引き受けていない。大切なものが何かもわかっていない(ただ最近、それはそれほどおおげさなものではない気がしている)。自分の夢を振り返るとそう思い、反省される。

今日は、主体性について考えたときに、つれづれ思い浮かんだことを書いてみた。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。