野沢温泉

先週休みを取って、野沢温泉に初めて行った。外湯が13か所あって、いろいろ巡れると楽しいだろうなと思った。実際行ってみてわかったのは、巡った外湯のうち何か所かのお湯は、私にとってはかなり熱く感じられ、湯船に入れなかったところもあった(外湯の中には「あつ湯」と「ぬる湯」にお湯が分かれているところもあれば、ひとつしかお湯がないところもあった)。熱いお湯が好きな方には特におすすめの温泉と言ったところでしょうか。

今回は、街を歩いていて入ったお土産屋さんが特に印象に残っている。そのお土産屋さんは、麻釜という、温泉がぶくぶく湧いて真夏でも湯けむりを立てている名所があって、そこで地元の人たちは卵やトウモロコシを茹でたりしているらしいのですが、そこから近い場所にあった。その日は名古屋で最高気温40.3度を記録した日で、スキー場が目の前にある野沢温泉の街といえども、それほど涼しくなかった。そのような中外湯を巡り、麻釜を見学し、歩いていたら、土産物屋さんの外側にソフトクリームの看板をみつけたので買って外のベンチで食べていた。そうしたらそのご主人が「西日が暑いでしょうから中でおあがりください」とおっしゃってくれて、お店の中に入らせてくれ、腰かけさせてくれた。お店の中はクーラーがきいており、ほっとした。するとすぐに湯呑に入ったお茶が出てきた。

麻釜

土産物屋さん

寝転ぶ猫

土産物屋の店内には、観光客らしき夫婦が一組いて、のんびりお店のご主人と喋っていた。小学生がお土産を買いに来て、店を入ったり出たりしていた。浴衣姿の女性が入って来て、店の奥さんと何か会話を交わし、茹でたトウモロコシを買って行った・・・。そんな風景をぼんやり見ながら、10分ほど休ませてもらった。長居してはご迷惑だろうしもうそろそろ・・と思って腰を上げかけると、すかさず店のご主人が急須を持った手をこちらにのばして私の手元に置いてある湯呑にお茶を継ぎ足した。 ・・・これはこの地方の特有のもてなしなのだろうか、お茶の継ぎ足し・・・

・・・私が子どもの頃には毎年夏には10日間くらい立科の祖母の家に滞在していた。その間毎日、10時と3時には必ずお茶の時間があり、お茶と野沢菜が出てきた。そして、湯呑の中のお茶が少なくなると、祖母がすかさず手をのばしてこちらの湯呑に継ぎ足した。一度学生時代の友人を祖母宅に連れて行ったときには、友人もこのお茶の継ぎ足しを体験して、少なからずインパクトを受けていた・・・

という定かではない回想と邂逅があった野沢温泉の旅ですが、季節的なものもあり、お湯の温度や、人々の人情もあいまって(観光案内所や宿のご主人も親切だった)、「あつかった」というひとことで表現できようか。また涼しくなったらおとずれたい。

ちなみに、私が宿泊した宿の前には、熊の手洗湯という外湯があった。ここは「ぬる湯」のほうはお湯の温度がちょうどよく(私が宿泊した宿のご主人は熊の手洗湯の「ぬる湯」の温度は41度だとおっしゃっていた)、2度ほど入りに行った。早朝、そこに入りに行った折には、麻色の作務衣のような着物を着た初老の背の高い外国人の男性が、入口のさい銭箱にお金を投げ入れた後、静かに手を合わせていた。そのたたずまいから、何度も通っている方のように見えた。

この記事を書いた人

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加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。