大湯近くでのできごと

少し前のことであるが、野沢温泉に滞在してきた。これで野沢温泉に行くのは4回目です。今回は、13か所ある外湯のうち、「大湯」に惹かれ、何度か入りに行った。大湯は街の中心に位置しており、そこから道が四方八方に伸びており、近くには温泉饅頭屋や、土産物屋、カフェや飲食店が並んでいる。人々の行き来が、多い場所でもある。今日はそこで起こった印象的なできごとについて書こうと思います。

それは滞在の2日目のことで、大湯付近のカフェに立ち寄ったときのことでした。カフェは、店内でも飲食できるのですが、入口外にも席があって、連休中の天気のよい日だったので、外の席に座らせていただくことにした。

食事をオーダーした後、しばらく座って一息つくと、目の前の道を人々が行き来しているのが目に入ってきた。大湯の向かいの広場には、何やらイベントが開催されているようで、キッチンカーのような車が乗り入れて、スタッフの方が準備をしているようだった。角に位置している別の店は、夜にはライブが開催されるらしい。その店には道に面したカウンター席があって、朝そこを通ったときには、道に面した席に、20歳代に見える方たちが数人並んで、通りを眺めているようすがみられた。服装や雰囲気から私が想像するに、イベントかライブの運営に関係する方々が、開始時間までの空き時間を、そこで過ごされていたのかもしれないと想像する。その方たちの目の輝きが印象的だった・・

などと思いにふけっていると、向こうから一匹の白い犬が走ってきた。トイプードルだったと思われる。明らかに迷い犬だと思われましたが、元気よく、人懐こい。行き交う人たちは、笑顔で、しかし車も通る道なので、心配げに見守っていた。そこへ、大湯から伸びた道の、2方向から、別々に2組のカップルが現れ、犬を走って追いかけてきた(ように私には見えた)。私はそこで、「ああ、飼い主の方が探して追いかけられてきた」 「よかった」と思ったのですが、そうではなかった。走っていらした2組のカップルの方々は、互いに、「おたくの飼い犬ですか」とたずねあって、互いに「違います」と言い合っている。そして、その方々は、私と、私の滞在している店の店員さんにも同じことをきいてこられて(犬が店内に元気に走り込んできたため)、私と店員さんも、「違います」と答えた。私も犬が走ってきて、2組のカップルが違う道から現れて、その方たちの犬でないとわかった直後には、店の飼い犬だと思い、お店の人に、「この店の犬ですか」ときいたら違うと言う。私も「お宅の犬じゃないんですか」と何人かにきかれた。

確かにそう声をかけたくなる気持ちもわかる。人懐こい迷い犬。とりまく人々は、皆が皆心配そうな、同時に嬉しそうにも見える表情をされており、私もおそらく、犬を見て同じような表情をしていたのだと思う。これでは、皆が皆、互いに相手が飼い主だと思うのもしょうがない。

・・・皆が、犬のほうばかりを追いかけていて、自分の表情には注意が向いていなかったという話でした。ちなみにこの後、飼い主さんは無事みつかりました。

この記事を書いた人

アバター

加藤 理恵

臨床心理士・公認心理師
カウンセリングルーム はるき カウンセラー 

(株)デンソーを退職後 心理系の大学院を修了し、39歳で心理カウンセラー
42歳でカウンセリングルーム はるき 開室。
ユング心理学を背景に持つ、夢分析 箱庭療法を得意とし、主にうつ、不安、対人関係に関する悩みの相談にあたっている。

過去に、精神科クリニック 産業領域(トヨタ車体(株)) 愛知県教育委員会スクールカウンセラー(中学校) 等でのカウンセラーの経験がある。